【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー



ん?この笑い方は、甘いモードの永太ではなく、寧ろ通常通りの鬼畜の顔では……。



途端に背筋がゾクッとして姿勢が良くなった私に、ミラー越しに覗く鬼畜が、言い放つ。



「おばぁが着付けしたと言うことは、貴方………ノーブラノーパンじゃないの?」



それは、誰にもバレてはいけなかった事実。しかし、おばぁは永太のガチおばぁなわけで、おばぁっ子の永太がおばぁが古風なのを知らないわけもなく。



………って、頭の中で何回おばぁって言ったよ私凄くね!?って、そうでもなくて!



完全に頭が混乱してしまっている私に対し、永太が追い打ちをかける言葉をポイ、と投げる。



「そう。悠莉はノーブラノーパンで両手にイケメンを引き連れて歩く趣味があるの。………痴女ですねぇ。」



「ちっがうわぁぁ!趣味じゃないわ!痴女言うな!っていうか絶対二人には言うなよこの鬼畜ぅぅぅ!!」



一瞬でも甘い言葉を期待した私が馬鹿だった。こいつは鬼畜魔神だ。第一形態で既に最強の鬼畜魔神なんだ。



ノーブラノーパンをしばらくの間いじられることを覚悟しながら、私はすっかり暗くなった外の景色に目をやった。
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