【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー

北極星(ニヌファブシ)を観ましょうか

早いことで、8月も17日。



ここに来た時間より、もう帰る時間を数えた方が早いんだな、としみじみ思う。



永太や澪ちゃん、雅治と過ごす時間が楽しすぎてあっという間なような、沖縄の独特なゆったりしたテンポに包まれて長い時間ここで過ごしているような、不思議な感覚。



夜になり、部屋に籠っていると、窓ガラスから『コンコン』と何かがぶつかる音が聞こえる。



虫にしては強い力だし、何だろうな。



なんて思い、カーテンを引くと、そこには自然交流委員会の末っ子王子、雅治がいた。



「雅治、こんな時間にどうしたの?しかもここ二階だし。」



「へへっ!ちょっくら梯子、拝借させて貰っちょるさね!」



窓の外をそっと覗くと、言った通り裏庭の梯子を使ってここまで登ってきているみたいだ。



「こんなとこから来なくても玄関から来ればいいのに。」



「しーっ!今夜やわんぬ単独行動。やっさーから、黙ってわんに着いて来い、お姫様。」



口元に人差し指を立てて、くりくりのターコイズブルーの瞳をウィンクした雅治は、正に異国の王子様。
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