【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
その光景に、永太が得意の『やれやれ』と言わんばかりの盛大な溜め息をひとつ落とす。



「ぬーさ!うぬ溜め息!やーがウングトールカジやっさーから、わったーやしが遠慮すんぬ止めたんばーよ!」



雅治が永太から私を隠すようにしてビシィっと指を差すと、永太が意地悪そうに口角を上げる。



そして、その雅治の白い指に、にょろり、と伸びた赤い、多分、蛇のおもちゃみたいなものを素早く装着した。



「あ……アガァァ!あがっ!やー、うんぐとぅアカマタぬおむーちーゃ、まーがら出しちゃんだしよ!?」



「企業秘密ですよ。」



お土産用に売られてる、噛むおもちゃだよあれ。なかなか離れないし地味に痛いやつね。



「さ、澪は聞き分けは良い子ですよね?こうなりたいの?」



左隣の澪ちゃんは、そんな鬼畜全開の永太にガタガタ震えてる。非常に可愛いんですけど。



「永太、シークワサー味ぬハイチュウ、いるみ?」



「美味しく頂きましょうね。」



そして、澪ちゃんの長い指先から永太の整った唇へハイチュウが『あーん』で運ばれる。



「まあ…聞かずとも読めますね、だいたい。この二人から好意を寄せられていることを伝えられましたね?悠莉。」



「……………はい。その通りでございます。」



この鬼畜顔の時の永太には逆らいたくない。というか、逆らえない。



にへらぁ、と笑うと、その下半分のみにブルーのフレームがあしらわれた眼鏡をキラリ、と輝かせながら永太が褐色の指で持ち上げた。
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