【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー
「で、わんと雅治や時間も限られちょるし正直んかいなったやしが、永太、やーはちゃーすがぬ?」



さっきまで永太に怯えていた澪ちゃんだったけど、ふいに、きゅっと表情を引き締めて永太を見る。



永太も、その切れ長の瞳を澪ちゃんから逸らさない。



「………俺は、この短期間で君達みたいに愛だ恋だぬかすタイプではありません。分かっているでしょう?」



「あんせー、ぬーんちやーは悠莉んかいちょっかい出すぬ?」



ようやくアカマタのおもちゃとの格闘を終わらせた雅治も、そんな二人のピリピリと繰り広げる微妙な空気に混ざる。



この空間居づらいなぁ…んー、よし、逃げよう。



そうと決まれば渡辺悠莉二等兵、戦線離脱でござる!



真剣に火花をバチバチ散らせる三人を他所に、私は匍匐前進でじりじり、と居間の入り口まで進む。



そーっと立ち上がり、ミッションコンプリート!うへへ!



………とか思ったんだけどさぁ。



「……さぁね。ひとつ言えるのは、この状況でパンツ丸出しで逃げ出すこの馬鹿いなぐのことを、誰にも渡したくない、それだけで動いてますから、俺は。」



そう告げられ、背中をビクッと震わせている間に、永太の長い腕が腰に巻き付き、顔はヒヨコ顔にぎゅむっと握られる。



「ひょっ…ひょっと!はにゃふぇ!」



「これに手を出さないだ何だ言って勝手にいきがぬ約束したのは君達でしょ?俺には関係ないね。」



そう言った永太の目と、綺麗な微笑が、こいつの本気度合いが高いのを表している気がして、背筋がビリリ、と麻痺した。
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