君のイナイ季節
「おめでと〜、先生」

拓海くんは私の手を引っ張って通りすがりに声をかけた。

「なんでお前ら、ここにいるの?」

堺先生は慌てて能勢先生から離れた。

「デートだよ、聞かなくてもわかるでしょ?」

拓海くんはそのまま続けて

「泣いている彼女をそうやって離したら可哀相だよ!
抱きしめてあげてよっ」

顔を上げられない能勢先生を気遣うように拓海くんは言うと、

「とにかく、お幸せに〜!!
お似合いだよ、先生達」

笑ってそう言うと足早に立ち去った。



まるで、電光石火な行動に出た拓海くんだけど。

月曜に能勢先生に会った時に私は言われた。

「柏原くんのおかげであの後、いい雰囲気で過ごせたのよ、ありがとう」



季節は真冬に向かっているけど、周りは暖かく春めいた人が多いな。

幸せになっていく人を見ると私まで幸せになれるね。
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