君のイナイ季節
拓海くんとの出会いは高校2年の春だった。

同じクラスになり、席も隣同士。

私はあまり男の子に免疫がなかったけど。

彼はお構いなしに話かけてきた。

少し長めの髪。

やんちゃそうな目。

人懐っこい笑顔が印象的。

いつものほほんとした雰囲気をしていて。

たまにボケた発言がおかしかった。

浮世離れした考え方、とでも言うのかな。

ちょっと普通の高校生ではない考え方をしている。

身体は鍛えられていて、体つきは細いのに全身筋肉が綺麗に付いていた。

人懐っこいくせにたまに見せるすべてを拒絶しそうな孤独さのアンバランスが絶妙だった。

あんな危うさを持つ人に出会ったのは初めてかもしれない。

普段は明るくて優しくて。
話をしていると私の心は自然に和んで。

いつの間にか好きになっていた。

でも、フラれるのが怖くて告白なんて出来ない。

フラれるくらいなら、ずっとクラスメートの1人で良かった。
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