君のイナイ季節
その秋の文化祭。

私は料理クラブに入っていて、朝から大忙しで料理を作っていた。

今年のクラブのテーマは洋食屋さん。

ホールにも人がいるから作る方の人手が足りない。

「柏原！暇なら手伝ってよ！！」

親友の生野 かれんの声が家庭科室前の廊下に響いた。

その直後、家庭科室のドアが開き、かれんと拓海くんが入ってきた。

「何すればいいの？」

拓海くんの、ちょっと拗ねかかった声が聞こえる。

そりゃ、怒るわ。

「米、洗って！」

かれんは忙しさのあまり、半分投げるようにザルと米を渡した。

拓海くんはため息をつくと米をザルに入れて嫌々ながらも手伝ってくれていた。

たまに拓海くんと目が合うけど。

恥ずかしくてすぐに下を向いてしまった。
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