城跡に咲く花〜使用人×王女〜
思えば反乱軍の目的は王の命であるはずなのだし、焙り出すためならまだしも、城が壊滅するほど火を放つ利点はないだろう。

そもそも火は外から着けられたというよりも、明らかに中から燃え広がっているように思えた。

それも明らかに城を崩す目的で、的確な場所に火が着けられている。

そのため反乱軍の奥への侵入は阻まれ、城は恐ろしい速さで崩壊の一途を辿っている。

最早食い止めることはできない。

だから反乱軍さえ早々に王の首を諦め、ここからの脱出を図ったのだろう。


ユリアは王の遺体を前に祈りを捧げる。


お父さま…。

この国を駄目にした責任をそのお命で償われたの?


ユリアは信頼のおける臣下たちに妹姫を託したが、彼らが王位の奪取を企てるほど愚かではないと信じていた。
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