それでも、僕は恋をする。
帰宅した僕は、ベッドの上で大の字に寝た。
天井を眺めても、壁に貼ってあるポスターを眺めても、いつの間にか目に涙がたまってしまう。
自分の女々しさが腹立たしくて、また泣けてくる。
「麟太郎、ご飯よ」
階下から母さんの声がした。
そんな気分じゃないよ。
悔しさやら悲しさやら虚しさやらで、体の中をかきまぜられたような感覚だった。
僕はまた、寝返りを打った。
どれだけの時間そうしていたのだろう。
すると、部屋の扉をノックする音が聞こえて、我に返った。
「やあ。リン」
入ってきたのは、直海さんだった。
直海さんはベッドで横になっている僕を見て、
「なんだ。調子悪いのか?」
と言って、僕の顔を覗き込んだ。
「夕飯も食わなかったらしいじゃないか。お前の母さん、心配そうだったぞ」
「……大丈夫だよ」
僕は渋々体を起こして、机に向かった。
「そうか?じゃ、まあ、始めるか」
そう言うと、直海さんは丸椅子に腰かけた。