超企業
榊薔薇さんが先に口を開いた。
「会長、今回の事件は自殺というケースは絶対にないのですか?」
会長はふっと笑い答える。
「んー、ないよ?どしたの?自殺で結論づけて諦めちゃうわけ?」
「違います、他殺なんですね?絶対に。」
「そう、絶対自殺にしてはいけないよ?」
キッと榊薔薇さんの目が会長に向かった気がした。
「分かりました。必ず真犯人を突き止めて見せます。」
威勢のいい榊薔薇さんを笑いながら今度は僕に話しかける会長。
「期待してるよ?秋山君はなにか見つけた?」
僕は自信なさげに
「いえ、特に…、怪しいものは…。」
と、ぼそっというだけしかない。
「えー、頼むよー?僕も君達をこんなところで解雇したくないからさ。」
無邪気そうな外見とは裏腹にその瞳は闇に包まれているような怪しげな色に見える。
この人は恐ろしい、闇の人間にもほどがある人物だ。
通報、というてもある、でも僕にはそんな勇気はなかった。
下手すれば通報して消されるのは僕になるかもしれないからだ。
そんなことを考えていると、榊薔薇さんは先に出て行こうとしていた。
「あ!榊薔薇さん、僕もいくよ!」
「あ、秋山君はもういいわよ。私今日はあの現場にはいかないから。それじゃ。」
そう言うと榊薔薇さんは会長室から出て行った。
「だってさ、秋山君、僕とお茶でもするかい?」
ニコッと微笑んで会長は誘ってきたけど、とてもそんな気分じゃない。
「いえ、仕事が残っているので、僕もこれで失礼します。」
僕はその場で一礼した。
「あらら、残念。息抜きも大事なのにね。」