With 〜十字架と白薔薇〜





菜々の顔は冷酷だった。




待てといって、
素直に止まったのは久しぶりだ。




私はしゃがみこみ、
明里の顔を覗いた。





「なんで華凛に入った?」




「…。」




いっこうに口を開こうとしない明里。





「もう一度だけ聞く、
なんで華凛に入った?」




怯えきった目を私に向け
明里は言った。




「…。」




無言を貫く明里は
痛みのせいか眉間にシワを寄せている。




「口ないの?」




< 14 / 127 >

この作品をシェア

pagetop