この運命を奇跡と呼ぶならば。


沖田の方を振り返ると顔が赤かったので尋ねると、さらに顔を赤くしてこう言った。


「風邪、じゃないんだけど…桜ちゃ、じゃなくて、桜君もしかして気付いてない?」


「気付くって何に?」


桜の鈍感さにため息が漏れそうだったが、恥ずかしさでため息など付けるはずもなく更に顔を赤くするのであった。


「桜君、手…放して?」


「え、あぁ。嫌だったか、悪い。」


「そうじゃなくて、ここ外だから他の人からしたら男同士が手を繋いでいるように見えるかなって。」


「ふーん。あ、屯所、見えて来たな~お腹減った。夕餉早く食べに戻ろう。」


そう言って桜は駆け出すと振り返って少しだけ悲しそうに微笑んだ。
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