この運命を奇跡と呼ぶならば。
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「桜ちゃん!!!」


桜が屯所へ帰る道を歩いていると前から沖田が走って来た。


「総司、どうしたんだ?そんなに急いで…」


「いや、心配で…」

沖田をよく見ると微かに肩が上下している。


「どうしてだ?私、何も心配させるような事は…」

桜は指を顎にかけて首を傾げている。

「起きたら、寝てたはずの桜ちゃんが居ないから…」


「あ、あぁ。悪い…でも、寝てたから起こすのもなんだか忍びなくて…





…それと、ここ外だから、“ちゃん”じゃなくて“君”だから。」

最後は囁くように言うと、沖田の手を引いてずんずん歩き始めた。

「さ、桜ちゃん?」

「桜“君”だって。」


「桜君…手…」


桜が沖田の手を繋いでいるせいか沖田の顔は赤に染まっている。


「手…?手がどうしたのか?…って総司、顔赤いぞ、風邪か?」
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