この運命を奇跡と呼ぶならば。

「そういえば、最近山南さん部屋から出て来ないね。」


「伊東が来てから、ますます引きこもるようになって…腕の傷、私が治してあげられるかな?」


沖田が心配そうに山南さんを案じており、桜も自らの力を使うことも考えているが、本当は別のことを案じてもいた。


(山南敬助、幹部間でのすれ違いの故、脱走し介錯は沖田総司が務める…。)


「…らちゃん…?桜ちゃん!!」


「あ、あぁ。ごめん、ボーっとしてた。」


「そう。また、時間があれば山南さんの様子を見に行こう。」


「えぇ。そうね。」


桜も沖田もそう言ったきり黙ってしまったが夕餉だと呼びに来た永倉によって広間へと向かった。
< 151 / 359 >

この作品をシェア

pagetop