この運命を奇跡と呼ぶならば。
土方は額に手をやり眉間に皺を寄せている。
「副長、どうなさるおつもりですか。」
「その事なんだけど、伊東はしばらく泳がせておいて。それでね」
桜はいったん、ここで言葉を止めると隣に座っている斎藤に向いた。
「一、貴方に間者をしてもらいたいの。」
「斎藤に?」
「えぇ、それも内密に。近藤さんにだけは教えるけれど、後は幹部にも黙っていてね。一以上に適役はいないと思うのよ。」
「俺でよければ。」
「斎藤、お前に任せた。頼んだ。」
三人は視線を合わせると頷き合った。