この運命を奇跡と呼ぶならば。
藤堂の顔が真剣なものにかわると桜も態度を切り替えた。

「俺さ、伊東さんに着いていくことにしたよ。」

「そう、そうなの…。」

桜も分かっていたことだがやはり、本人から聞くと悲しいようで表情が曇った。

「…平助。1つ、約束してくれる?」

「あぁ、なんだ?」

静かな声で藤堂の顔を見据えた。

「…必ず。生きて、もう一度わたし達に会いに来て。必ずよ。」

「桜…お前が言うなら俺は…。でもさ、必ず、会いに来る。約束する。」


必ず、そう言った桜の手は声の震えを隠すように強く握り締められていた。そして藤堂も桜の様子から自らの未来に予想したようで声は暗く沈んだが力強く桜の瞳を見て言った。
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