この運命を奇跡と呼ぶならば。

「いてぇよ。桜。」

「そうだぜ!!もっと優しくしてくれよ。」

「ふん、文句は総司に言え。なかなか起きないあいつが悪い。」

朝餉を食べ終わり、その場で桜は朝の文句を言われていた。すると、土方が桜に話しかけた。

「桜、今日は総司と巡察に行ってこい。」

「は…?何故、私なんだ。」

「つべこべ、言わず行ってこい。最近、長州の奴らが怪しい動きを見せてんだ。他の幹部は長州に顔が知れてる。お前は入ったばかりで、相手は知らず、実力もある。」


「ふん。土方に褒められるとは…明日は槍でも降るんじゃないのか。まぁ、いい。少し、外出して来る。」

そう言って桜は立ち上がると屯所を出て、あの桜が咲く丘へ来ていた。
< 66 / 359 >

この作品をシェア

pagetop