この運命を奇跡と呼ぶならば。

美丈夫もとい、土方と呼ばれた男が、桜に気付き総司と呼ばれた男に聞いた。


「彼ですか?彼は巡察中に浪士と女子が揉めていた所に居て、怪しいんで連れて来たんですよ♪」




(彼…?私のことか、まぁ男に見えなくもないか…)



「まぁまぁ、座りなさい。」

優しそうな男がそういったので、柔和な笑みを浮かべ一言断りを入れて、座った。


「で、お前は誰なんだ?」


すると、美丈夫が鋭く睨みつけながら桜に訪ねる。そして桜はそれを跳ね返せそうな視線で返す。

「人に名前を聞く前に自分が名乗ったらどうだ?」


桜がそういったら優しそうな男が申し訳なさそうに眉を下げ困ったような顔をする。


「すまないね…私は局長の近藤勇というんだ。ほら、トシも総司も挨拶しなさい。」


「チッ、副長の土方歳三だ。」


「僕は、一番組組長沖田総司だよ。」

土方は仕方がなさそうな苛立たしげに、沖田は考えが読めないニコニコした顔で自己紹介を済ませると桜も一つため息を落とし、軽く頭を下げると簡潔に名前を名乗った。



「私は乙宮桜と申します。」



「乙宮…お前は長州の間者か?」


「率直ですね、まぁ違いますけど。なぜそんなことを?」
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