相容れない二人の恋の行方は
 私が出かけて再び新谷の自宅に戻ってきたのはそれから数時間後。
 木崎さんのようなお嬢様が使う生活用品に悩まされながら普段行かないような高級デパートを見て回ったり、その後、ついでに新谷に命じられたゲームソフトを探して回った。どうやら今日発売日らしいそのゲームは人気の商品でどこに行っても売り切れ。五軒ほど回ってようやく手に入れたのだ。真面目に新谷に言われたとおり動いている自分が馬鹿らしいなと思う反面、仕事だと思えば断るわけにもいかないしと自分を納得させる。でも結局、私は一体何をしているのだろう、いつまでこんな生活が続くのだろう……という軽い絶望感に苛まれるところに行きつく。前は夏休み、その先に卒業というゴールがあったけど今はない。

 重い足取りで新谷の自宅に戻り扉を開けると、玄関先にさっきはなかった女性ものの靴が丁寧に揃えて置かれていた。
 どうやら木崎さんはもう到着しているようだ。……すっかり日も暮れている。当たり前か。
 部屋の中へと足を進めるとリビングの扉の向こうから木崎さんと思われる笑い声が聞こえてきた。彼女にも久々に会うわけだしまずは挨拶を済ませようとドアノブに手をかけたときだった。

「あーあ。でも、こんな素敵なところに一人で住んでるなんて。羨ましいな」

 一人で住んでる、その言葉に私がここで同居することになったことをまだ新谷から聞いていないことを察する。……それなのに、いきなり私が出てきたらびっくりするよね? 自分が事のいきさつを説明するのも絶対に嫌だ。私はリビングに入るのをためらってその場に立ち尽くす。

「だったら。まなも、家が嫌なら出て同じようなとこ探せばいいよ」
「簡単に言うけどさぁ……気軽にこんなとこ住めないよ」
「だったら住まわせてくれる男を探すとか。まななら、そういう男いっぱいいるんじゃないの?」
「ひどーい。人を軽い女みたいに言って」

 今ここで、二人の会話に割って入る勇気なんてない。出直そう、そう思って扉に背を向けた時だった。

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