相容れない二人の恋の行方は
 ――数年会わないうちにとても綺麗になったけど、なんで?
 私だって、それなりに色々経験してきたんだ。何も知らなかった高校時代(あのころ)とは違う。
 ……とにかく、ここでじっとしていても埒が明かない。まったく気乗りしないけど、言われたとおりゲームを買いに行こうか……。……え? ほんとに行かなきゃだめ? なんのために!?
 自問自答しながら一人で戸惑っているその時だった。部屋の扉を叩く音がして、部屋の外から「真由子、ちょっといい?」と新谷の声が聞こえてくる。そう、驚くほど自己中な男だけど無断で女性の部屋に入ってくるようなこともしない人だ。

 扉を開けると新谷と正面から向かい合う。昔から隣に並ぶのと同じくらい向かい合うのも好きじゃない。じっと見下ろされて、まるで逃げ場を失ったような追い込まれた感覚に陥る。軽く20センチ以上はあるだろう身長差が憎い。私の視線は決まって足元に向かう。

「……なんですか」
「木崎まなみ、覚えてる?」
「え……?」

 懐かしいその名前に反応して顔を上げる。木崎さんは新谷の幼馴染で、私にも気さくに接してくれたミス栄華と呼ばれ全校男子生徒の憧れの的だった女性だ。

「覚えてますけど……」
「家族と色々あって喧嘩して、家を飛び出してきたんだって。それで一晩だけ置いてほしいって言っているんだけど」
「別に……どうぞご勝手に」
「だから悪いんだけど。女性が一泊するのに必要な生活用品、今から揃えに行ってくれる?」
「は!? なぜ私が……」
「手ぶらで出て来てるらしいんだ。ボクに女性用品を買わせる気?」
「別にいいんじゃないですか?」
「……自分自身の身支度もあるだろ? ついでだろ。お金はとりあえず立て替えといてくれれば。じゃ」
「ま、待ってくださいよ! ほんとに私が? だ、だってどんなものを用意したらいいのか……下着とかだよね。でもサイズとかブランドも分からないし……!」
「よろしく」
「あ、ちょっと待っ……!」

 このようにして、はっきりと拒否をさせてもらえないまま強引に、時には無理難題を押し付けられる。あぁ、本当にあの頃と同じだ。私に指示を出した新谷の姿はとっくに元いたリビングへと消えていて、私は大きな溜息を一つついて、買い物に出かけた。

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