青い嘘とブルーなKISS
外に出るのは何日ぶりだろうか?


そもそも誰かに会うこと自体が何日ぶりなのだろうか?


約束の場所に向かうころには陽が落ち始め、目的の場所に丁度着いた頃、携帯の着信音が鳴った。



「ミウ?」

「うん。セナ?」

「後ろ」


振り返ると私より少しだけ背の高い男性が不機嫌なのか不機嫌じゃないのかわからない表情で立っていた。


彼がつい先ほどまでチャットで話していた相手のセナなのだとすぐに気づくことが出来た。


「なんとなく」としか言い様がないが、チャットという文字だけでのやり取りでも、言葉の一つ一つに繊細さを感じていたことから、その整った顔立ちが「なんとなく」セナらしいと思ったからだ。




「今ついたのに何で私って分かったの?」

「ミウっぽかったから」



「なにそれ?見たこともないのに?」

「見たこともないからだよ」


自然なテンポだが少し違和感が残る程度の会話を重ねるとチャットで話していたままの相手だと良くわかる。


私が彼に対して「セナらしさ」と感じたように彼も私に対して同じように感じ取ったのかは表情からはわからなかった。




「どうするの?」

「どうしようか? とりあえず歩きながら考えよう。」



西暦がもうすぐ変わる12月の街は、恋愛にいそしむ男女達で溢れ、輝くイルミネーションが彼らをさらに幸せな笑顔へと導いていた。
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