罪線〜an imitation〜
「……シュウジ?……シュウジ……」


玄関に封筒が届けられてから約一時間。今でこそ疲れて寝ているが、シュウジはあの後、恐怖に駆られ、暫く泣き続けていた。

それはそうだ。元々ヒトの一部であった物が、引き裂かれた形で届けられたのだ。

彼の倍近く生きているであろう俺でさえ、未だに息が整わない。

それが、十にも満たない少年であれば、恐怖も更に大きな物となるだろう。

目の前に佇むシュウジを哀れに思い、彼の頬に手を翳したその時だった。


……ガチャ……。


まただ……。


また玄関の扉が開かれた。


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