罪線〜an imitation〜
第一ラウンドは、為す術も無く破れ、第二ラウンドも圧倒的な差で、後半を迎えている。

戦況は、もちろん俺が劣勢。

手を抜いては、平岡だっていちゃもんを付けて来るだろうが、相手は口を開く様子もない。

俺の"本気"は平岡に伝わっているのだ。

俺自身、こんなにも悔しい。それが伝わらないはずがない。

……そして……。


「……負けた……」


勝負は着いたのだ。

俺は、左手で操作していたボタン、右手で操作していたスティックを離し、立ち上がった。

いつもと逆の手で操作し、ハンディを被ってはいたが、完璧を求める俺にとって、これ以上に悔しい事はない。

立ち上がった俺は、向かい側にいる平岡の元へ、歩を進めた。



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