罪線〜an imitation〜
そこから平岡の返事はない。

……自分が今まで望んでいた"勝利"を手に入れたのに、だ。

そう。俺の狙いはこれ。

ハンディを被っても、本気でやる時は絶対負けたくないという俺の性格。

俺を倒すためだけに生きて来た平岡の三年間。

その二つを利用した俺の目論み。

それが今上手く作用し、俺に、本当の勝利をもたらそうとしている。


「平岡さん、今日のアンタは、本当に凄かった。もう敵う気がしないよ」


目論みに溢れた俺の言葉。

それに対して平岡は、放心状態のまま、こう呟いた。


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