罪線〜an imitation〜
心をある程度許した俺を見て、平岡はとどめを刺しに掛かる。


「ケンジ君。僕はね、世界の終わりなんて見たくないんだ。新しい世界の始まりを見たいんだよ」


「新しい……世界?」


「そう。誰しもが抱いている、でも誰も見せようとしない欲望を叶えられる世界。それを自分の手で創れたら、素晴らしいと思わないか?」


平岡の理想が俺の理想と重なり、動悸が速まる。


常日頃から俺は考えていた。


世の中が狂っているから、個々が狂う。


世の中が狂っているから、悪人が悪人と呼ばれる。


世の中が狂っているから、俺が……本能に素直な俺が邪悪と呼ばれる。


「……ケンジ君」


俺は……


「……さぁ、一緒に」


俺は……


「……一緒に行こう」


俺は、新しい世界を創りたい。


「……あぁ」


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