罪線〜an imitation〜

終焉との出会い

どこに向かうのかは解らないが、俺は誘われるまま、平岡の後に着いて歩いた。


「平岡さん。アンタの言う、新しい世界って何だ?」


期待をしている訳ではないが、ひとつ問い掛ける。

すると平岡は、僅かに笑みを浮かべながら言った。


「……キミはどうなんだい?キミが望む新しい世界はどんな世界?」


「俺は……俺は、俺が正常である世界を創りたい」


「そうか。なら僕も一緒だ」


何だか肩空かしをくらった様な気分だった。

この男の事だ。俺ですら想像も付かない、スケールの大きな事を言うだろうと思っていたのに……。


「期待外れだ」という感情を、溜息混じりで顔に表した。

しかし平岡は、そんな俺を見てまた軽い笑みを浮かべる。


……いや、まだだ。

まだ俺には想像も付かない程の何かを、この男は隠し持っている。

安心感の中に、不審感が垣間見え、またそれが俺の心を擽る。


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