恐愛同級生

「仕方なく一回抱いてやることにした。白石にも言われたんだ。一回抱いてもらえたら諦められる気がするって」

「何……それ……」

当たり前のようにあっけなく言い放った翔に思わず目をむく。

「白石としたかったわけでもないし、ましてや白石に心変わりすることなんて絶対にありえないって自信があったんだ」

どうして……？

どうしてそんなに平然とそんな話ができるの……？

「それに、すべては莉乃の為だから」

「あたしのため？」

「あぁ。莉乃とこれからも付き合い続けていくための障害を排除しようとするのはそんなにおかしいことじゃないだろ？」

「好未が……あたしたちの障害になっていたって言うの？」

「そうだ。白石は俺たちの関係を壊そうと必死になってた。莉乃だって、保健室でのアイツの態度見て分かっただろ？」

優しく諭すように言う翔に何故か寒気がする。

正論を唱えているつもりかもしれないけれど、客観的に聞くと明らかにおかしい。

考えがあらぬ方向を向いている。

それに翔は気付いていない。