恐愛同級生

ナイフの柄は血でツルツルと滑る。

遠くへ投げ捨てようとするものの、五十嵐がそれを阻む。

「かえせぇぇぇぇっぇええ!!!」

「おい、やめろ!!!!!」

そう叫ぶと五十嵐は体ごとこちらに突進してきた。

ナイフが五十嵐の胸部に突き刺さる。

肉が刺さる感触が手のひらに伝わり喉の奥から吐き気が起こる。

「あぁぁぁ……うぅぅううぅ……」

充血した目を見開き、声にならない声を上げる五十嵐はその場に勢いよく倒れ込んだ。

でも、まだ息はある。

「みうらぁぁぁ……殺してやる……殺してやる……」

いまだに奴の執念は途絶えてなどいない。

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