クール上司と偽装レンアイ!?
優秀賞の副賞は、旅行券とデジタルカメラって情報がどこからか入って来たらしい。

どうやって分ける? とか仕事の合間に楽しそうに話す声が聞こえて来る。

私は会話に加わる事無く、パソコンの画面を眺めていた。

別府課長に引継書を作る様に言われたから、急いで進めないといけない。

仕入先の指定伝票の処理や、支払いに関する処理等、事務的な事で私しか知らない事は結構有った。

引継書が有れば誰でも出来る作業だけど、いざマニュアルを作るのって大変だ。

しかも通常業務も有るのに。

評価を上げたくて頑張ってる時は苦にならなかったけど、出て行かなくちゃいけない事が決まった今、どうしてもやる気は下がってしまう。

それでも何とか図形やグラフ等を駆使して、なるべく見やすい様に作成して行く。

いつになく活気に溢れる購買部の中で、私の気持だけが沈んでいた。


定時を15分程過ぎると私はパソコンの電源を落として帰り支度を始めた。

今日は早く帰りたかった。

一人になっていろいろ考えたい。

人目を気にせずに、思い切り落ち込みたい。

手提げに荷物を纏めていると、葵が立ち上がり私の隣にやって来た。

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