クール上司と偽装レンアイ!?
一緒に過ごした時間は短いのに、沢山の葵の姿が浮かんでは消える。


大好きだった。
今でも大好き。


でも、苦しくて仕方ない。
私と違って優秀な葵に引け目を感じてしまう。

私は相応しくない。いつか葵がそれに気付いたらと思うと不安になる。

朝井さんみたいな綺麗な女性が葵を好きだって事実が恐くて仕方ない。

葵の言ってくれた言葉を信じよう。

自分が作り出す悪い妄想に負けないようにしよう。

何度も心に言い聞かせて来たけど駄目だった。


ー私にはもう信じる強さが残ってないんだー



昔、三日間も音信普通になった恋人の裏切りを私は疑いもしなかった。

私より綺麗な親友が彼と親しくしていても、気にならなかった。

あの頃はただ純粋に人の気持を信じられた。


こんな事になって、今更のように気がついた。



私が失くしたのは恋人と親友だけじゃなかったんだ。

恋人を無条件に信用する気持ち。

幸せな未来を信じる気持ち。

心の中の純粋な想いをあの時、失くしてしまっていたんだ。

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