僕達の冷たい戦争
表札に[金城]と書かれた家についた。
(………すごい名前。…かねしろって読むのかしら。)       ※本当は[きんじょう]と読みます。
バンッバンッ
『すみません。隣に越して来た者ですが…』すると向こうから、ドタドタと聞こえながら『はぁ~い、はいはい』
という声がして、気前の良さそうな女が出てきた
『あっすみませんお忙しいと頃。隣に越して来た[藤本]と言います。これ、つまらない物ですが』
言い終わるのと同時に、土産をわたした。
『あらぁ、ちょうどお仏壇のお供え物の菓子を切らしてて、困ってたところなのよぉ。どうもありがとうねぇ。何か困った事があれば、いつでも頼ってくれていいからね。』
『はい。ありがとうございます。では、また…』
娘はお辞儀をして次の家に向かった。
『かぁちゃん、さっきのだぁれ?』       娘と同じくらいの年齢の男が団扇を扇ぎながら、ゴロンと横たわっている。
そんなだらしない息子を見て、ペシッと頭を叩いた。      『ったく、同じ人間なのにこうも違うもんかねぇ』
吐き捨てるように言いながら、お仏壇にお供え物し、合掌した。
『いってぇな、誰と比べてんだよ。』
頭を擦りながら、不機嫌そうに言った。

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