嘘つき偽彼氏


俺の心は大きく弾んで

でも、その心の動揺が君にバレないように

呆れた表情をうかべて
あからさまにため息を吐いた。


「何?また何かの嘘が妄想の話?」


バクバク、音が鳴る。


声で自分が動揺していることがバレないようにする。


「え!違うよ!!

ホントに、現実に出来たし」


少し頬を膨らませた君。


俺から視線をそらして
下を向きながら歩いていく。


そんな君の姿ですら愛おしい。


でも

君に彼氏が出来たことは信じたくない。

お願いだから

その君の口からやっぱり嘘だと言ってくれ。


「嘘は泥棒のはじまりだからな」


そう言って、拗ねている美夜の頬をつついた。


すると美夜は俺の人差し指をキュッとつまんで
上目遣いで俺のことを見る。


ドキン……


掴まれた指先から
身体がじわじわと熱くなる。


「ホントだもん……」


泣きそうな声。


二人しかいないこの道。


俺はつい、ため息を吐いた。


そして、振り払うようにして
美夜の手から逃れると
俺のことを見る美夜から視線を逸らす。





何、考えてんだか。

俺は………。




















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