嘘つき偽彼氏



「ちょっとじっとしてろよ?」


「え?うん」



もう、鼻と鼻がぶつかりそうな距離。


美夜の吐息が
微かに聞こえて


俺の心臓が張り裂けそうに
バクバクして


体、全体が熱くなって


俺の頭が
どうにかなりそうで






なのに……


そんな、苦しい思いをしてるのは
俺だけで……。



こんなに


近いのに


こんなに


唇が触れ合いそうな距離なのに


こんなに


愛おしく思っているのに






「むかつく」


どんなに
声を小さく呟いても
美夜には、俺の言葉が聞こえていて


「姉にむかつくとは、何事ですか?」


余計、美夜を怒らせた。



そんな美夜でさえも
好きで好きでたまらない。


言いたい。

言いたい。


俺が一番、お前を好きだと。









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