たったひとりの君にだけ

「……瑠奈、かっこいいじゃない」


彼女は道端にも関わらず腰に手を当てドヤ顔をする。

きっと、長年の付き合いになる彼女は、素直じゃない私の本心をわかっている。


出るべき感謝の五文字の言葉を。


「じゃ、行こっか。ほら、あそこにいる人、私らがついて来ないから心配してる」

「……そんな男じゃないけどね」


むしろ『早く来いよ』とイライラするタイプだ。


「もうっ、そんな不機嫌な顔しないの!高いもの奢らせて帰ればいいんだから!」


背中に感じたとてつもない痛みを我慢しながら。

もしかして結局の目的はそこなんじゃないの、と思ってしまった自分をひっそりと戒めて、絶対に店で一番高い酒を注文してやろうと決意した。
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