たったひとりの君にだけ

すぐに返信ボタンに触れることが出来ず、ふうっと溜息を吐いて道の途中、立ち止まってしまう。

明るい顔文字が不釣合いだ。
せめてものプライドか気遣いなのかと、想像するだけで胸が痛む。


本当はあの日、瑠奈は私に打ち明けようとしていたんだと思う。


私だけじゃない。
あいじま食堂の女将さんにも。

何があったのか、話そうとしていたんだと思う。


どうして気付いてあげられなかったのだろう。


私と樹の姿を見て、それどころじゃないと思ったであろう瑠奈。

そして、自分を差し置いて私のことを考えてくれたのに。
きっと、宣言通りにいかなくて、羽目を外したのだって根本は彼女の心の中にあったと思うのに。
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