たったひとりの君にだけ
あの後、ごめんと電話で謝られ、怒ってないよと言っても『絶対怒ってる~!』と言いながら大泣きされてしまった。
瑠奈があんなに取り乱して泣くのなんていつ以来だっただろう。
不思議に思い、とっくにあの店を後にしていた瑠奈に、今からおいでと言うと彼女はタクシーに乗ってやって来た。
そして、涙の理由を話してくれた。
そう。
今、とても職場にいづらいことを。
元々働くことが好きじゃない、今の職場にだって長居するつもりはなくて、5年も勤続したのが夢みたいだと。
だから、辞めても全く悔いはないと。
ただ、負けたみたいで悔しいと。
そう言った瑠奈は唇を噛み締めていた。
でも、その直後に、また私の心配をした。
素直じゃない私は、そんな状況でも素直に頷かなかったけれど、長く綺麗な髪を乾かさずに眠りについた彼女を横目に、少しだけセンチメンタルな気分になった。