たったひとりの君にだけ

と思っていると、先に美容液の入ったショップ袋を渡された。


「すみません、これ」

「あ、いえ。ありがとうございます。あ、はい、これ」


互いに荷物を交換する。
そして、またもや暫し固まる。

何か言うべきだとは思う。

だけど、何か言ったらボロが出そうで。

自分で自分の首を絞めるだけになりそうで。


「あ、あの、自己紹介まだでしたよね」

「あ、はい、そうですね」

「改めまして、キオナの店長やってます、久瀬直輝です」

「あ、ご丁寧にすみません。椎名芽久美です」


差し出された手を握る。
柔らかい雰囲気とは裏腹に、大きくてがっしりしていた。
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