たったひとりの君にだけ

だけど、なかなか簡単に引き下がる気配がない。


「でも、あのときそんなに人いなかったんで大丈夫ですって」

「こっちの気持ちの問題なんですよ」


周囲の視線を気にする場所では、絶品コーヒーの味は確実に落ちてしまう。


「でも、来てほしいんですよ」


どうすればわかってくれるんだろう。
不味いコーヒーなんて飲みたくないのに。

しつこさも、誰かを彷彿とさせる。

第一、私一人がコーヒーを頼まないところで、それほど売り上げに影響するとは思えない。

すると、彼は目元をより一層緩めて、しつこさの理由を口にした。




「だって、あの充の想い人なので」




やっぱり似てるな、と思った。

勿論、顔じゃない。
所謂、空気感。

さすが、類は友を呼ぶ法則。

侮れない。
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