たったひとりの君にだけ
「お幸せなんですね」
「はい、こんな俺を支えてくれるいい妻です」
オーラが眩しい。
本当に幸せなんだと思う。
無邪気ではなく、穏やかで優しい。
そんな笑顔が見えるから。
本当に、大切に想っているんだと思う。
「また来て下さいね」
「あ、行かないです」
だから、遠慮もなしで即答した。
そのオーラを一蹴したくて。
それに、高階君の親友だからといって、私が丁重な態度で接する必要はないと思う。
「え、どうしてですか」
「どうしてもなにも……あ、コーヒーは凄く美味しかったですよ。ホント、5本の指に入るレベルで」
「あ、ありがとうございます」
「でも、あんな醜態晒したんですから、もう行けません」
これ以上の非常識は避けたいし、残念ながらそこまでメンタルは強くない。
「気にしませんけど」
そっちが気にするかどうかは問題じゃないんですけど。
「……久瀬さんが気にしなくても、あの場にいた人に見つかったら非常に恥ずかしいので」
冷静な声で言い返し、そっぽを向いた。