たったひとりの君にだけ
そうこうしているうちにエレベーターは1階に到着した。
先に降りるよう促され、一足早く密室から解放される。
そして、横に並んだ彼と共にエントランスを抜けた。
「今度はちゃんと無理しないで救急車呼んで下さいよ」
「救急車呼ぶ前に病院行くから大丈夫です」
強気で言い放ち、そっぽを向く。
同じ過ちは二度と繰り返さないのが学習能力ってもんよ。
ナメないで頂きたいものだ。
だけど、いつもの勢いで即座に反論した私に、またもや彼は笑って見せるから。
何をどう答えれば黙ってもらえるんだろうって。
答えが見つからないから困ってるってことを。
きっと真横の彼は微塵も気付いちゃいないんだろうけど。