たったひとりの君にだけ
私はその場を仕切り直すように、ベタにゴホンと咳払いをする。
「風邪ですか」
「違うわっ!」
いつまでそのネタを引っ張る気なんだろう。
飽きて来た。
政治家の汚職事件並みに飽きて来た。
「いつがいいですか?」
「え、いや、そっちこそ」
「俺もはいつでも……あ、でも、今日は新年一発目で会議があるし、今週はなんだかんだで忙しいだろうし。うーん、新年会が邪魔だなぁ」
「組織の一員としての勤めって時々煩わしいよね」
「わかりますそれ。別にお酒が嫌いなわけじゃないけど、むしろ好きだけど、参加メンバー次第では異常に気を遣うだけの地獄の時間になりますしね」
「そうなんだよね。私はなんだかんだ理由つけて逃げることもあるけど」
「俺、逃げられないんだよなぁ……。芽久美さんも新年会ありますよね?」
「あるけど、確か来週の金曜だった気がする」
どうせやるなら週末だろう。
今現在、特別その日に時間を割かなければならないような相手はいない。
もしも瑠奈からお誘いがあったとしても、新年会だからと断ればいいだけの話だ。
でも、念の為に今日、日程確認しなきゃマズイな。