想い続けて。
告白

窓から、太陽の光がきらきらと差し込み、光の線を作る。放課後の教室で、椎名祥平は、自分の目の前にいるクラスメイト、柳川由紀の顔を、まじまじと見つめた。由紀は、先ほどから、目をきつく瞑って、俯いたままだ。

「好きです」

由紀に言われた言葉が、祥平の頭の中で、リンクする。二人の間だけ、時が止まったようにも思えた。
刹那、笑声が響く。祥平の隣に立っていた、原井理人だった。由紀の瞳が開き、揺れる。

「おまえ、なに言ってんの?超キモいんだけど」

理人は、由紀を指差し、笑った。祥平は 由紀をちらりと見る。そして、理人に合わせて笑い出した。そうせざるを得なかった。笑いながら祥平は、なぜわざわざ、理人がいるときに告白するんだ、と、少し由紀を恨んだ。

由紀は、笑いながら教室を出ていく2人を、黙って見つめていた。後悔の念が、胸に溢れる。 カーテンが、初夏の爽やかな風に揺れた。

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