クローバー 家族
母のこと。
明るい性格で自由奔放。
世話好きでおしゃれ。


それだけを書くと、いい人と思われる母。
だけど、外面の良さは我慢の連続で捌け口や家事を押し付けられるのは子供だった私たちだった。



「親せきの叔母さんがなくなったよ。身内が少ない人だから手伝わなくちゃ!」
長くて一週間以上泊まり込んで親身に世話をすることも少なくなかった。


その間の我が家はひっそりと静かで姉である私の簡単な食事がテーブルに並ぶ。相談したいこともある日にも大抵、母はいなかった。



我が家は完全に個人主義の家庭という看板だけを出した空き家だった。



寂しい。


本当は3姉妹とも口に出したかった。



口にしたら、これ以上悪くなるかもしれない。


泣いたり怒ったりわめいたり出来る人が羨ましかった。
私たちは感情表現が下手くそだった。
特に長女である私は変にプライドが高い。


他人に知られたくない家庭の事情をただ、ひたすらに隠していい子を演じるしかなかった。
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