少女達は夢に見た。
やっぱり良い案は思い付かなくて。


しかし、私は焦りながらも冷静だった。


柚奈が私達を避け始めたのは告白がよくない結果だったから。


それはつまり風見君がフッたということ。


それが原因ということは、だ。


風見君が悪い。


風見君がなにか酷いことを言った?

なにを。


そればかりは聞かなければ分かりようがない。


風見君に聞くのは野暮。

柚奈に聞くのはあまりにも残酷だ。


それと先輩のこと。


こんな身近に女同士のカップルがいたなんて。


それも有名なカップル。

歩乃香とアキが知ってるなら、柚奈も知ってるかな。


歩乃香は偏見無いという反応を見せたけど、既に知ってる人はどう思ってるんだろう。


だけどそれを聞き回る勇気はない。


先輩達にも失礼だし。





私は悶々とした想いを抱えながら、休日を過ごした。


また明日になれば学校に行かなくてはならない。

溜め息が出そうになったところで、
ケータイ着信がなった。

まさか柚奈!?


慌てて手に取る。


送信者は、柚奈ではなかった。


ちょっと拍子抜け。


〈明日、サボるなよ。〉

とだけ、送ってきたのはアキだった。


いきなり何よ…。


いくら柚奈のことを気にしているからって、サボるわけないじゃん。


行きたくないとは思ったけど。


アキも心配してくれてるんだ。


短いメール文だけではわりずらいけど。


気を遣って言葉を選んでくれたんだなと言うことはしっかり伝わった。


がんばれ、なんて言われるよりよかった。


柚奈のことは学校に行ってから考えよう。


私がなにかして怒らせてしまった覚えもないわけだし。


〈きっと、なんとかなるから大丈夫。〉


元気が出てきて、そう返信する。


またすぐに着信音がなった。


アキからだ。


〈うん、そうそう!ついでに理科の課題写させてね。〉


なにがついでだよ。


課題写すために、私に学校サボられたら困るってこと?


まったく…。


しょうがないな、アキは。


そう思いながらも、笑みが零れた。


お調子者で、ちょっと男らしいけど、


こうやって、さりげなく元気づけてくれる。


本人に自覚があるのかは不明だけど。


アキのおかげで、今日は悶々としたまま眠りにつかずに済んだ。




昨日のこともあってか、嫌な夢を見ることも無く、目覚めが良かった。


金曜よりもずっと軽い足取りで教室に入る。


斉藤さんは…居なかった。


いないのが普段だし。


当たり前だよね。


教室一番乗り。


窓を開けて、朝の空気を顔に浴びせた。


朝特有の霧がかったような景色。


静かで、それでいて時折聞こえてくる鳥の鳴き声と、トラックが動き出す音。


耳を傾ける。


風も、少し冷たいくらいで気持ちが良い。


気持ちまで晴れ晴れとしてきた。

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