あたしの心、人混みに塗れて
「とーもーちゃん、へーんーじ」


にこにこ笑いながら返事を求められると、こちらは非常に言いづらいのですが。


あたしは何と言えと?


「……蒼ちゃん」

「ん?」

「次浮気するような素振り見せたら、あたし海外に逃げるからね」

「海外ってあなた、ありきたりな逃げ方だねー」

「なんなら広大な北海道でも屋久島でもいいけど」

「とりあえず、王道だね」

「蒼ちゃんの考えてることはなんとなくわかるんだから、本当にやめて」

「わかってるよ。今回も普通にばれてたしなあ」

「まあ、わかりやすいってのもあるけど」

「俺ももう、ともを泣かせるのはもう嫌だよ」

「あたしだって、蒼ちゃんがいない生活はもう耐えらんない」


あたしが言うと、蒼ちゃんはきょとんとした顔になってすぐに俯いた。


「あー…………もう」


蒼ちゃんが呻いて額同士をくっつけた。


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