Under The Darkness
栞ちゃんは腑に落ちないって顔で考え込んでる。
その手には、すでに3本目のビールが握られていた。
「なんか美里のこと頭から食ろうたろって顔して、絶対美里から視線逸らせへん。あの男、正直、敵や思ったもん」
「敵?」
ぼんやりしてきた頭をこてんと傾げた。
「うちは美里のこと嫁にもらお思てるんやから。美里に懸想するヤツは性別問わず全員敵や。殺す」
フッと片唇だけで黒く笑む栞ちゃんが、常になく極悪非道な悪人面になっていて。
「こ、怖いで? 栞ちゃん」
「大丈夫や。完全犯罪なんて案外容易いんやで?」
「こ、こわっ!」
一瞬で頭が明瞭になる。酔いが覚めた気がした。
仰け反ったときに座った椅子がギギッと音を立てて後ろに下がる。
「美里はアホやから、うちが守るんや。悠宇なんてツボ間違うとるエセヘタレじゃ話にならん。眼鏡男も陰険そうやし論外や」
栞ちゃん、完全に目が据わってる。
アブナイ何かのスイッチが入ったんだ、きっと。
握りしめるチューハイの缶がぺこりとヘコんだ。