Under The Darkness





「それでええ。ずっと嫌っとき。アイツ、美里見る目がおかしいからな」


 目がおかしい? 確かに怖い。

 殺人ビームが噴射されているんじゃないかって思うくらい怖すぎる。

 私はうんうん頷きながら、残り僅かになった1本目のチューハイを空けた。


「……本妻さんの息子さんやから。私達母子のこと、嫌ってて当然やろ?」


 自分で言ってズンと落ち込む。

 ヤケ酒だと、2本目のプルトップをプシッと開けた。


「嫌う? 美里を?」


 いや、そうじゃない。と、栞ちゃんは首を振った。


「嫌いっていう感情よりずっと強い、深い気ィする」


 その言葉に、それは『憎しみ』だと思った。

 けれど、それは口にしたくなかった。

 憎まれているという事実を再認識するのがイヤだったんだと思う。

 忘れたいとばかりに、手にしたチューハイをゴクゴクと一気飲みしてやる。


「嫌ってるだけで、あんな目ぇして美里のこと見るやろか」

 
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