Under The Darkness
「ははっ、ふふ。な、なんにせよ、私はいったん大阪へ帰りますから。ええですよね? お父さん」
お願いしますと、緩みそうになる口元を引き締めながらお父さんに目を向けた。
すると、お父さんの顔がはっきり分かるほどに緩んだ。
聞こえてきた京介君の舌打ちは無視だ。
私はこの1週間でだいたい理解した。
私の父親を名乗るこの男性は、私のことをとても大切に思ってくれている。面識がなかったのに、だ。
私がこの家に運び込まれてからずっと、京介君と共に付き添ってくれていた。
怯える私を宥めながら、ママとの馴れ初めなんかも語ってくれた。突然出来たお父さんと異母弟である京介君の存在に、とても癒やされたのも事実だった。
「京介と一緒なら安心かな。京介は跡目を継がないと言ってはいるが、若い衆に負けないほどの武闘派で、ムカつくほどに頭脳派でもあるからね。京介と舎弟を何人か連れていけばいい。その代わり、パパの元にすぐに戻っておいでね。蘭ちゃん亡きあと、ここが美里ちゃんのウチなんだから」
お父さんはそう言って、強面のいかにもな極道面をにっこりと綻ばせた。