Under The Darkness




 屋敷内にいる舎弟さん総員で見張られている現状、逃げ出すことが出来ない。

 逃げだそうとした所で、今みたいに速攻で見つかってしまうのがオチだ。

 それに、京介君の耳にも入るに違いない。


 ――脱走しようとしたことが。


 クラリとした。

 このままでは逃げ出せない上に、京介君の怒りを買うのは必至。頭を鈍器で殴られたような衝撃が私を襲う。

 何もせず手をこまねいている場合ではない。
 


 なんとしても、今、逃げ出さないと。


 けれど、あと少しで京介君が戻ってきてしまう。

 ママもいない。

 ……どうしよう。

 ぎゅうっと掌を握りしめ、泣きそうになるのを必死で耐える。


「……そうだ!」


 パッと閃いた。極道なお兄さん達を追い払うことが出来る存在。

 この屋敷で、京介君以外でもう一人いたことに気付く。

 そして、善は急げとばかりに、扉の外で見張りをしていたお兄さんに、私は声を掛けた。



< 201 / 312 >

この作品をシェア

pagetop