Under The Darkness






 空が明るくなった頃、私はゆっくりと身体を起こした。


 隣では京介君が眠っている。


 あの後、京介君は私を抱きかかえるようにして眠ってしまった。

 でも、私は結局眠ることが出来なくて。

 身体は睡眠を欲していても、頭が冴えてしまって。

 京介君に抱きしめられたまま、彼の寝息を耳元で聞きながら、まんじりともしない時間を過ごしたんだ。


「ああ、頭ボーッとする」


 私はとっちらかった服をかき集め、その足で浴室へと駆け込んだ。

 立っているだけで昨夜の残滓が溢れ出し、内股をぬるりと伝い落ちてゆく。

 昨夜交わした情交の激しさが脳裏に蘇って居たたまれなくなる。

 頭からシャワーを浴びて、内に凝《こご》った熱を無理やり放射させた。

 浴室から出ると、すぐにカラコンを填め直し、紙袋から服を取り出し袖を通すと、いつものようにキッチンに立つ。

 昨日買い込んだ大量の食材からめぼしいものを取り出して、エプロンのヒモを腰で結び早速朝食の準備にとりかかる。

 何かに没頭していたら、要らぬ事を考えずに済む。

 京介君の告白から逃げるように、私は忙しなく手を動かした。




 没頭しているうちに、頭はいくぶんしゃっきりした。

 私の身体は、いつも通り一連の流れを辿るようにして動き出す。



「美里さんは料理が出来るんですね」


「……ひぃっ」


 突然聞こえて来たその声に、緊張が走り、ギクリと身体が強ばった。

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